ヘリコバクター・ピロリ菌は、日本人では50代では60~70%以上の人が感染していると言われていて、世界的にみても日本人は感染率の高い人種といえます。
そしてこの菌が感染している胃は、必ずと言っていいほど慢性胃炎を起こしています。
ピロリ菌がいない胃との違いは明らかで、ピロリ菌が悪さをしているなとつくづく感じます。
そして除菌がうまく行くと、確かに発赤やむくみなどが無くなり、非常に穏やかな胃粘膜になるのです。
一方、胃癌も世界の中でも日本人に多い癌で、その胃癌は慢性胃炎が進んだ状態である委縮性胃炎を発生母地とするとも考えられているので、除菌をすることによって胃癌の発病が抑えられるのではないかと考えるのはごく自然なことです。
今の所そのことについては有意差をもって証明はされておりませんが、現在「早期胃癌の内視鏡的治療後」も除菌療法の適応として厚労省の保険請求で認められています。
このような様々な研究に基づき、2010年に日本ヘリコバクター学会は、「ヘリコバクター・ピロリ感染者は、予防的な観点から全員除菌されることが望ましい」との提言を発表しています。
ピロリ菌が自分の胃にいるかどうかは、採血や検便、検尿などの簡単な検査で分かります。
そしてピロリ菌がいる事がわかったら、まず胃カメラをする必要があります。早期胃癌が出来ているかも知れないからです。
早期胃癌であれば、内視鏡的治療でほぼ完全に治療できるので、つまり言い換えれば胃癌は今や完全制圧出来る癌と言えるのです。
高崎市では、平成23年から胃癌リスク(ABC)検診と20歳のピロリ検診が市の事業として始まりました。
これは日本でも先駆けとなる検診事業で、将来的には高崎市から胃癌をなくしてしまおうというとても夢のある画期的なものです。
自分がピロリ菌に感染しているか分からないという方は、早いうちに取り敢えず一度調べ、数ある癌のうち最もポピュラーである胃癌に対する心配を消してしまいましょう。
※今まではピロリ菌除菌の保険適応は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・MALTリンパ腫などに限られていましたが、平成25年2月21日より、慢性胃炎の患者さんまで保険で除菌が出来るようになりました。これで日本人の胃癌が更に減るのではないかと期待されています。
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